ここでは公正証書遺言書との比較を通して、自筆証書遺言保管制度の特徴を捉えます。
手軽に作成できます
ポイントさえ抑えれば、自分一人で作成することは可能です。
費用が安いです
①から自分一人で作成可能ですから、最低紙とボールペンがあれば作成可能となります。
証人が不要です
①②③のメリットは、書き直しの容易さにも繋がります。
遺言者以外の者に遺言書の存在、内容を秘密にできます
①③から、遺言者一人で遺言書を作成し、それを秘密にしておけば、誰も存在や内容を秘密にしたままにすることは可能です。
遺言書の効力が無効になり得ます
公証人や士業など資格者が関与せずに遺言者一人で作成した場合、民法で定められた要件を満たさず無効になることがあります。
遺言者の意思を反映できないことがあります
公証人や士業など資格者が関与せずに遺言者一人で作成した場合、遺言者が考えていた内容を遺言書に反映できていないことがあり得ます。単純な内容ならまだしも複雑な内容であれば、資格者に確認してもらった方が無難です。
検認が必要となります
死後、遺言書の発見者や保管者が家庭裁判所に申立、相続人や受遺者などが集合し、検認する必要があります。公正証書遺言書は検認不要です
遺言書の紛失の可能性があります
遺言書の存在や置き場所を誰にも伝えていないと、死後に遺言書を誰も発見できないかもしれません。公正証書遺言書は、平成元年以降作成のものであれば、全国の公正役場で一定の者であれば検索可能です。
遺言書を破棄、隠匿されるかもしれません
自筆証書遺言書を発見した者が自己に不利益な内容であれば、自筆証書遺言書を破棄したり、隠すことがあるかもしれません(そのような者は民法891条により相続権を失います)。公正証書遺言書は公証役場に原本が保管されているので謄本を破棄、隠匿されても大丈夫です。
遺言書を偽造、変造されるかもしれません
自筆証書遺言書を発見した者が自己に不利益な内容であれば、自筆証書遺言書を偽造したり、変造したりすることがあるかもしれません(そのような者は民法891条により相続権を失います)。公正証書遺言書は公証役場に原本が保管されているので偽造、変造を防止できます。
遺言書作成時に判断能力があったのか確認できないです
自筆証書遺言書は一人で作成可能ですが、誰かの指示を受けて作成することも可能です。判断能力のない方が内容の指示を受けて作成したと疑いを受けることがあり得ます。公正証書遺言書は、公証人が作成しますので、有効性の証明力は高いです。
自筆証書遺言書は以上のようなデメリットがありますが、保管制度で1、2、3、4、5、6のデメリットを克服できると考えられます。
費用はかかりますが、公正証書遺言書より安価です。遺言書の作成を検討している方は、自筆証書遺言書のよさをそのままに、デメリットを補完する保管制度は利用を検討すべきと思います
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