遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができます(民法907条2項)。
遺産分割協議がまとまらず家裁に遺産分割調停を申立てた場合において、相続人が全員納得して調停が成立すると、調停調書が作成されます。
家事事件手続法268条1項において、
「調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第39条の規定による審判)と同一の効力を有する」
と規定され、別表第二の第12項において、遺産分割が掲げられています。
そのため、遺産分割調停の調停調書は、確定判決(正確には、確定した遺産分割審判)と同一の効力を有します。
確定判決と同一の効力を有するものは、債務名義となり、それにもとづいて強制執行を行うことが可能となります(民事執行法22条7号)。
このように、調停調書には強い効力があるため、調停調書どおりの相続登記や強制執行を行うことができます。
相続不動産について相続登記が未了の場合(被相続人名義のままの場合)には、遺産分割調停で不動産を取得することとなった相続人は、
他の相続人の協力を必要とすることなく、単独で、直接単独取得者名義に「相続」による所有権移転登記をすることができます。
家裁の調停による遺産分割に基づいて相続登記を申請する場合には、「相続を証する書面」として、調停調書の謄本を添付します。
なお、家裁の審判による遺産分割に基づいて相続登記を申請する場合には、審判書謄本を添付しますが、確定証明書付きであることが必要です。
調停調書により相続関係を明らかにすることができるため、「相続を証する書面」として、通常の相続登記の際に必要となる戸籍謄抄本等(被相続人の出生から死亡までの戸籍等)の添付は不要です。また、相続関係説明図も不要です。
遺産分割調停調書による相続登記に必要な書類は、以下のとおりです。
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そのため、同グループの弁護士が代理人として遺産分割調停を成立させる事例も多く、遺産分割調停申立からその後の相続登記手続きまで、ワンストップでお手伝いをさせていただくことが可能です。
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