遺産分割と遺産分割協議書作成のポイント
遺産分割は、まず、被相続人の遺言があればそれに従います。
遺言がない場合には民法で法定相続分が定められています。しかし、何がなんでもこのルールに従って相続しなければならないわけではありません。
相続人全員の合意があれば、遺産をどのように分割しても構いません。これは遺言がある場合も有効です。このように具体的な遺産を各相続人に具体的に配分していく手続が遺産分割です。
遺産分割協議の注意点
- 必ず相続人全員で行います。
- 後日発見された遺産(借金が出てくる場合もある)を、どのように分配するか決めておきます。記載漏れがあっても、改めて協議しなくて済みます。
- 形見分けは自由にできます。
形見分けとは…故人の愛用の時計等、身の回りの物を分けること - 遺産分割が長期化しそうな場合には、相続分を譲渡する方法もあります。
自分が相続できる権利(自分の相続分)を他の相続人もしくは第三者に有償、無償を問わず、譲渡することが可能です。
譲渡することで、遺産分割のトラブルに巻き込まれることを回避できます。
遺産分割協議が成立したら必ず遺産分割協議書を作成しましょう!
遺産分割協議書は、必ずしも作成しなければならないと法律で定められている訳ではありませんが、協議の内容を明らかにし、後日の紛争を未然に防ぐためにも作成することをおすすめします。
また、相続による不動産などの所有権移転登記をする際に、添付書類として遺産分割協議書が必要になります。預貯金などの名義変更手続きの際も添付が求められる場合がありますので、協議が成立したら、速やかに遺産分割協議書を作成するようにしましょう。
一度成立した遺産分割協議は原則として撤回できません!!!
遺産分割協議は、相続人全員の合意によってのみ解除できます。
したがって遺産分割の進行及び遺産分割協議書の作成は、慎重かつ正確に進める必要があります。
遺産分割協議書作成の注意点
遺産分割協議書の様式には、特に定めはありません。
手書きでも、ワープロでも、横書きでも縦書きでもかまいません。
「誰が」「どの財産を」「どれだけ取得するか」を明確に記載する必要があります。
- 不動産の表示
- 登記簿に記載されているとおりに(所在、地番、地目、地積など)記載します。
- 預貯金
- 銀行名、支店名、預金の種類、口座番号を明確に記載します。
- 割印
- 遺産分割協議書が複数ページにわたるときは、相続人全員の割印が必要となります。
- 署名・押印
- 相続人全員が書名押印します。必ず、本人が自署し、実印を押印します。
- 印鑑証明書を添付します
- 印鑑証明書は、発行後3ヶ月以内である必要はありません。
- 保管
- 各自1通ずつ保管します。