労働者協同組合法が成立しました
2020年12月4日に労働者協同組合法が成立しました。2022年10月1日に同法が施行され、新しい法人格「労働者協同組合」が設立できるようになります。
労働者協同組合とは
労働者協同組合とは、持続可能で活力ある地域社会づくりを目的として、3人以上で資金を出し合い、自分たち自身が労働者として働く組織のための法人です。
主なメリット、デメリット
メリット
労働者協同組合には、以下のようなメリットがあります。
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組合員が自主的で自由に働くことができる。
→ 労働者協同組合なら、出資者や経営者の意向に左右されることなく、自分たちで自主的な組織を構成でき、業務も派遣業を除き自由に行うことができます。
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3人以上の発起人がいれば行政の許認可は必要なく、法律に定めた要件を満し、登記が完了すれば法人を作れる。
→ NPOの10名の社員、企業組合の発起人4名と比して少人数で設立可能で、また登記の完了により法人格を取得できます。
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地方自治体と連携した事業も行いやすい
またNPOとは異なり出資ができるため、資金が集まらないことで事業を制約されることも少ないといえるでしょう。
→ 個人の活動と比して、法人格を持つことで地方自治体と業務委託契約を結ぶなど活動が広くなります。シニア世代に活躍の場を提供したり、人手不足の産業の担い手を増やすことで後継者問題を解消する効果も期待されています。
デメリット
一方で労働者協同組合には、以下のようなデメリット・問題点も存在します。
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労働条件が悪化するかもしれない
→ 出資・経営・労働が一体となった労働者協同組合では、労働を提供するのも賃金を出すのも自分たちですから、低賃金労働が起きやすくなります。労働契約によって最低賃金は確保されますが、事業が軌道に乗らないうちは、労働条件の整備が後回しになってしまうこともあるでしょう。
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合意形成がうまくいかない可能性がある。
→ 労働者協同組合では、組合員が自分たちで議論して主張を出し合い、事業を進めることから、合意の形成がうまくいかないことがあります。主張がまとまらず、事業の決断が遅れ、悪影響をきたす恐れもあります。
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いわゆる「名ばかり理事」の懸念も
→ 労働者協同組合法によると、組合員でも、理事の職務のみを行う者や監事である者とは、労働契約を締結する必要がないです。そのため、専任理事や監事としておきながら、実際は労働契約なしに事業に従事させる問題が懸念されています。
労働者協同組合の主な設立手順は以下の通りです。
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3人以上の発起人を集める
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定款・事業計画書など設立必要書類を準備する
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創立総会の2週間前までに日時・場所・定款を公告する
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創立総会を開催し、組合員の半数以上が出席し、定款の承認や収支予算の議決、役員選挙などを行う
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理事は組合員に出資一口につき1/4以上の出資をしてもらう。
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法務局で登記の手続きをする。
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設立登記後2週間以内に、都道府県へ組合成立の届出をする。
設立は、基本的には3人以上を集めて、登記のための準備をし、法務局で設立手続きを行うのが基本ですので、NPOや企業組合などに比べてかなり簡単に設立できます。