不動産売買や相続登記の際に仮登記が残っているということがよくあります。今回はこの仮登記を抹消すること流れを説明します。
所有者Aの土地に、仮登記名義人Bが所有権移転請求権仮登記をつけており、この仮登記を抹消する場合
原則は共同申請(不動産登記法60条)です。
所有者Aと仮登記名義人Bとで申請します。
仮登記名義人は登記識別情報(又は登記済証)と印鑑証明書を提出します。
例外として、仮登記名義人Bが単独申請することも可能です(不動産登記法110法)。
この場合も共同申請の時と同じく仮登記名義人は登記識別情報(又は登記済証)と印鑑証明書を提出します(登記研究481号)。
もう一つの例外として利害関係人からの単独申請も可能です。
利害関係人には所有者も含まれます(登記研究461号)。
この場合、登記識別情報ではなく仮登記名義人の承諾書(印鑑証明書付)を添付します(登記研究343号、登記研究155号)。
かなり過去の仮登記だと登記済証を紛失していることもあるので、その場合この方法が有効でしょう。
なお、かなり前の仮登記ですと仮登記名義人の住所氏名に変更が生じていることもあるでしょう。
その場合は変更登記は不要です(昭32.6.28民甲1249)。
ただ添付情報として、住所や氏名の変遷を証明する書面を提出しなければなりません。
仮登記名義人が死亡している場合、原則相続登記が必要になります。
相続登記後に仮登記名義人の相続人と所有者が上記のとおり、仮登記の抹消をすることになります。
また理由は定かではありませんが、所有権移転登記請求権仮登記をした後に、仮登記名義人と同じ者が、所有権移転登記をしていることもあります。
この場合は仮登記の権利と所有権が混同の状態となっており、所有権移転の原因日に仮登記の権利が混同により消滅していることになりますので、仮登記を混同を原因として抹消することになります。
この場合、仮登記名義人が混同後死亡していたとすれば、仮登記名義人の相続前に混同により仮登記をした権利が消滅しているので、仮登記については相続登記をせずに仮登記を抹消することが可能となります。
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