住居表示の実施と登記名義人住所変更登記
住所変更登記とは
不動産の所有者が引っ越しをして住所が変わった場合、登記簿上の住所を、現在の住所に変更するために「登記名義人住所変更登記」が必要となります。添付書類として、住民票(登記簿上の住所から何回も住所移転を経て現在の住所に至る場合には、すべての経緯が記載された戸籍の附票)を提出します。
特に、売買や贈与、抵当権設定をお考えの際には、登記簿上の住所と現在の住所が異なっていないか確認が必要です。所有者の住所と現在の住民票上の住所が異なったままでは、所有者の同一性がないと判断され、売買や贈与による所有権移転登記、抵当権設定登記をすることはできません。それらの登記の前提として、必ず住所変更登記が必要となります。
なお、相続登記の場合には、被相続人の最後の住所と登記簿上の住所が異なっている場合でも、相続登記の前提として住所変更登記は不要です。被相続人の住民票の除票や戸籍の附票により、被相続人が不動産の所有者であることを証明すれば、相続登記申請をすることが可能です。
住居表示実施や町名地番変更の場合
住居表示が実施された場合や町名地番変更により住所が変わった場合にも、住所変更登記が必要となります。自動的に登記簿上の住所が変わるわけではありません。
※住居表示実施については、詳しくは、登記ブログ「地番の調べ方」をご覧ください。
※町名地番変更については、詳しくは
こちらをご覧ください(名古屋市の場合です)。
住居表示実施や町名地番変更により住所が変わった場合の住所変更の登記には、市区町村役場で発行された、住居表示実施証明書、町名地番変更証明書などを添付することにより、登録免許税が非課税となります(登録免許税法5条4号)。
住居表示実施による住所変更登記をしないでいるうちに、引っ越しで住所を移転した場合
住居表示実施による変更の記載を省略して、引っ越しを原因とする住所移転登記1件のみで足ります。
ただし、登録免許税は、不動産1個につき1,000円かかります。
引っ越しをして住所移転したが、住所変更登記をしないでいるうちに、住居表示の実施があった場合
登記原因として、引っ越しによる住所移転日と住居表示実施日を併記することで、1件の登記申請で済みます。
また、住居表示実施証明書を添付することで、登録免許税が
非課税となります(登録免許税法5条4号)。
住所変更登記をお忘れなく!
いざ、売買で不動産を売ろうとしたとき、登記簿上の住所が昔のままとなっていた際には、当事務所にご相談ください。
住所だけでなく、結婚などによる氏名変更登記、会社であれば名称変更や本店移転による住所変更登記が必要になることもございます。
氏名変更と住所移転の組み合わせや、住所移転と行政区画変更との組み合わせなど、登記原因の記載や登録免許税が非課税になるか等、具体的事例によって異なります。まずはお気軽にご相談ください。