法定相続人が誰であるかを登記官が証明してくれる「法定相続情報証明制度」が始まって、約8年が経ちました。
この制度は、相続関係を示す一覧図に法務局の認証文を付した写しを交付してもらうことで、相続手続の際に、戸籍の束を提出する代わりにこの一覧図を使えるようになるというものです。各金融機関や行政手続きがスムーズにすすむという大きなメリットがあります。
当事務所でもご依頼いただいた案件について法定相続情報一覧図の作成代理を行っております。今回は、これまでの実務で感じた、作成時の注意点についてまとめてみました。
※一般的な作成方法は法務局のHPをご参照ください。
父の法定相続情報一覧図:
相続人として母・子供2人を記載します。
住所の記載をする場合、亡くなっている母の住所は必ずしも記載する必要はありません。住所が記載されている人とそうでない人が混在していてる一覧図でも問題ありません。
母の法定相続情報一覧図:
父の名前は記載しません。「亡夫」や、「亡配偶者」と記載することは可能です。
祖母が亡くなり、その祖母の相続人である父、叔父が順に亡くなった場合です。
祖母の法定相続情報一覧図:
父と叔父が祖母の相続人となる一覧図を作成できます。
申出人であるあなたが相続関係図に登場しないため、相続関係図の下、作成日等の記載欄に申出人(亡父の子であるあなた)の住所氏名を記載する必要があります。
この時、代理人が作成する場合でも、作成者の他に申出人の表記が必要です。
父の法定相続情報一覧図:
通常どおり作成が可能です。
叔父の法定相続情報一覧図:
叔父に子供がいる場合、その子供は法定相続情報一覧図を作成できますが、あなたは叔父の相続人ではないため、申出人にはなれません。
ただし叔父に子供がなく、直系尊属もすでに亡くなっている場合、代襲相続人となり、申出人として一覧図を作成することが可能です。
法定相続情報証明制度を利用できない場合は、今までどおりその部分に関して戸籍を用いた手続きとなります。
外国籍の方については、戸籍が提出できないため、法定相続情報証明制度の利用ができません。
このような場合は、従来どおり戸籍等を用いた手続きとなります。
相続人である子の法定代理人(親権者)が一覧図を作成できます。
法定相続情報一覧図には、相続関係図の未成年者である子の名前の横に「(申出人)」と記載します。
また「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」の申出人の表示も同じく未成年の子となります。
代理人が提出する場合は、未成年者の親権者である母から代理人に対する委任状が必要です。
戸籍の記載に不備がある等の理由で、法定相続情報一覧図が作成できないケースもあり、思ったように作成できないこともありますが、作成できた場合は、各金融機関での確認の手間が省け手続きがスムーズにすすみます。相続手続きにご利用してみてはいかがでしょうか。
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